【哲学とマイクラ】現代の「遊び」から逃走し、「器官なき身体」となるための世界

【哲学とマイクラ】現代の「遊び」から逃走し、「器官なき身体」となるための世界

ようせいさんのマインクラフトサーバーへようこそ。 ここは、一般的な「お金稼ぎ」を競う経済サーバーではありません。そして同時に、現代のゲームが私たちに強いている「見えない縛り」から逃走するための、静かな実験場(プロジェクト)でもあります。

少しだけ、この不思議な世界が作られた「本当の理由」をお話しさせてください。

1. 監視資本主義からの逃走:私たちは「資源」ではない

今の時代、私たちはゲームの中で本当に「自由」に遊んでいるでしょうか?

ログインボーナスで毎日の行動を縛られ、ガチャ(課金)で射幸心をコントロールされ、攻略Wikiの「最適解」というレールをただなぞらされる。ショシャナ・ズボフが『監視資本主義』で告発したように、現代のゲーム空間において、私たちはもはや主体的な「遊ぶ者」ではなく、システムに予測可能な行動データを供給し、時間を搾取されるための「資源(原材料)」へと作り変えられています。

当サーバーが、一部のプレイヤーによる巨大なトラップ(自動化施設)を原則禁止し、インフレを防いでいる最大の理由はここにあります。 それはあなたをルールで縛るためではなく、ゲーム内の資本主義的なシステムに搾取され、アルゴリズムを回すための単なる「器官(歯車)」になってしまうことから解放するためです。最適解や効率だけを求める「人間を資源化する遊び」を、ここではアーキテクチャの根底から否定しています。

2. スピノザの「喜び」と、攻略本のない世界

17世紀の哲学者スピノザは、人間の本質を「自らの存在を維持し、活動の力を高めようとする欲求」と呼び、その力が刺激されることに「喜び」を感じると考えました。

しかし、最適解やお金(資本)だけが絶対的な価値観になった世界では、一番効率よく儲かること以外は「無駄なこと」とされてしまい、純粋な遊びの喜びは失われます。

だからこそ、このサーバーには特定のプレイスタイルを強要しないRPGシステム(mcMMO / AuraSkills)が導入されています。 ただあてもなく歩く、木を伐る、見知らぬ土地を掘る。攻略本には載っていない「気まぐれな行動」のすべてが、あなた自身の身体のステータスや経験値として蓄積されていきます。効率から外れた無駄な行動など、ここには一つもありません。あなたのすべての行動が「喜び」として肯定されるように設計されています。

3. 「器官なき身体」としての、静かな繋がり

このサーバーでは、基本のお給料(Advanced Jobs)で生活の土台が保証されています。課金で強さを買うことも、インフレでお金稼ぎの競争をすることもできません。

では、なぜ私たちは一生懸命集めた資源を「お店(チェストショップ)」で売るのでしょうか? それは、お金持ちになるためではありません。

あなたがログインした時、ふと「あなたのアイテムが売れました」という通知が届く。それは利益が出たという資本的な喜びではなく、この広大な世界のどこかで、あなたが採掘し、作り上げたものを「見知らぬ誰かが見つけ、必要としてくれた」という、微かな繋がりを感じるためのものです。

フランスの哲学者ドゥルーズとガタリは、あらかじめ決められた役割や機能から逃れ、自由にエネルギーが流れる状態を「器官なき身体(Body without Organs)」と表現しました。

目的もなく広大な空間を漂い、気が向いたら木を伐り、自分の痕跡として店を出し、たまに通りがかった誰かがそれを手にしていく。

ここは、「経済成長や効率化という狂騒のお祭りが終わったあとの、優しくて静かな夕暮れ」のような時間が流れる世界です。 人間の行動を資源化する現代の「遊び」を内側から解体し、あなた自身の純粋な行動を取り戻す「器官なき身体」として、この世界を自由に遊遊と漂ってみてください。

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著作者:pikisuperstar/出典:Freepik